ニューヨーク滞在記(3)

ニューヨークでは、どこで何をしてもチップがかかる。それも堂々と要求される。

ヨーロッパの国でも、チップはかかった。しかし、それはいわば「心付け」で、例えば、レストランで食事をすれば、代金を支払った後で席を立つときに自分なりの判断でチップをテーブルに置いておけばよいので、その額でもめたりした経験はない。

それがニューヨークだと、レストランで食事後に「チップは2割だ」と要求される。タクシーに乗っても、15%のチップ(現在はアメリカに居住している連れ合いの妹さんにあらかじめ聞いておいた額)を差し出すと、やはり「チップは2割だ」と言われる。結局、チップというのは代金の一部のような形になる。

それだけでも金がかかるのに、ニューヨークの物価はべらぼうに高い。ホテルも日本の1・5倍ないし2倍はかかる。私たちが泊ったのは「ホリデイ・イン」という、アメリカでは庶民的なホテルというより「イン」(宿屋)で、荷物は自分達で部屋に運ばなくてはいけないようなところだったが(おかげでポーターにチップを払わなくてよかったが)、それでも一泊2万円以上かかった。部屋も日本でいえばビジネスホテルクラス、朝食付きだったが、お世辞にも品数が多いとは言えず、2~3日で飽きてしまった。ちなみに、昨年マカオに旅行に行ったときも現地のホリデイ・インに泊ったが、荷物を運んでくれないのは同じでも、部屋は5つ星ホテルなみ、朝食も洋食・中華が色とりどりに並べられ、天と地の違いがあった。それでいて、値段はニューヨークのホリデイ・インと同じくらいだった。

ニューヨークで食事しようとすると、ちゃんとしたレストランがなかなかみつからない。多くはカフェ形式の店で、そこではパンとサラダといった軽食しか食べられない。おかげで昼食は抜くことが多く、ニューヨーク滞在中に、あっという間に4キロ痩せた。さすがにこれでは堪らないので、夕食は「地球の歩き方」などを参考にしてまともなレストランに通ったが、そうすると、特別、豪勢な食事をとったわけでもないのに、二人であっという間に100数十ドル(1万数千円)かかる。

こうなると、如何にお金を節約するかということに気が向くので、昼食は抜き、タクシーには極力乗らず、原則、地下鉄で移動するという毎日になった。そして、この地下鉄が、また、大変だった。