2022-01-01から1年間の記事一覧

ウクライナ戦争の行方

ウクライナ戦争の開始からしばらくの間、西側メディアでは、ロシアの苦境が盛んに報じられた。欧米、とりわけアメリカからの最新の軍事援助が功を奏して、ロシア軍は思わぬ苦戦に直面し、キエフ攻略を始めとした短期決戦の思惑は破綻し、強力な経済制裁を受…

バイデンの"失言”

バイデンの"失言”なるものが、しばしばジャーナリズムをにぎわせている。 ロシアのウクライナ侵攻直前に、バイデンは、仮に武力行使があっても、アメリカは武力介入しないと発言した。この発言は、アメリカが武力介入すればアメリカとロシアという核大国同士…

ウクライナ戦争の原因

2月下旬のウクライナ戦争開始から3か月近くが経つ。 ウクライナ国境周辺にロシア軍が集結しているという報道に接するようになってからも、専門家の間でも戦争が始まることには懐疑的な見方が少なからずあった。ウクライナがNATOに加盟するとしても今す…

ウクライナーロシア戦争からアメリカ(米欧)ーロシア戦争へ

ウクライナーロシア戦争として始まったかにみえたウクライナでの戦乱は、急速にアメリカ(米欧)ーロシア戦争に転化しつつある。 確かに、NATOはウクライナに、軍を派遣して直接、ロシア軍と戦火を交えてはいない。 しかし、アメリカ、ヨーロッパは、ウク…

ロシアはファシズムに向かいつつあるか

プーチンはソ連邦崩壊を20世紀最大の地政学的悲劇と呼んでいる。 ゴルバチョフが始めたペレストロイカとグラスノスチは、これまで抑え込まれていた異論派と民族主義を解き放ち、社会の流動化とソ連邦構成共和国の独立への動きを促進した。これを受けたエリ…

プーチンの表情

プーチンのみせる表情を観察していると、時に不安げで神経質そうな表情を見せることがある。 これは彼の人格の複雑さを示しているようにも思われるが、スターリンや毛沢東に見られるような、力の意思を体現し、時に途方もない暴力を容赦なく振るうといった、…

プーチン・ロシアと「西側」極右との内通

プーチン・ロシアの「西側」に対する「ハイブリッド」戦争の一環として、「西側」極右に働きかけ、「西側」の「自由民主主義体制」を内側から腐蝕させようとしているといった話が聞かれることがある。 実際にもアメリカのトランプに対する働きかけとか、大統…

プーチンの政治的任務

ロシアの政治的指導者としてのプーチンに科せられた任務は、ソ連解体に伴う混乱を立て直し、秩序と安定を取り戻すことだった。 ソ連はレーニンとスターリンによって作られた共産主義国家だった。それはいわゆる西側国家とは異質の原理によって構成された、そ…

政治家プーチン(2)

政治を行うに当たってリアリズムを理解していること、清濁併せのむ必要があること、権力闘争を厭わないこと、国家・社会の統合に気を配ること等々は、如何に理想肌の政治家であってもおろそかにすることはできない。さもなければ、その政治家は、政治家とし…

政治家プーチン

プーチンとはどのような政治家なのか。 しばしばソ連邦時代の政治の延長上に捉えられるプーチンには、しかし、共産主義やら自由民主主義といったイデオロギー色は薄い。 プーチンは、リアリスト、国家主義者、権力政治家である。 およそ、政治には、リアリズ…

プーチン登場の背景

ブレジネフ時代のソ連は硬直化した体制の下で停滞を続けていた。 ブレジネフ後のアンドロポフ、チェルネンコと2代の短命政権の後、ゴルバチョフが書記長となり、ペレストロイカと呼ばれる改革政治が開始された。 ペレストロイカは言論の自由を尊重するグラ…

3つの世界大戦

現在、世界は3つの世界大戦が展開されているようなものである。 第一は、《自然界》と《人間界》との間の軋轢によって生じているパンデミックや気候温暖化などの世界的災害。 第二は、主にアメリカ(及びこれに従属的な形で加わる日本)と中国とのあいだの、…