尖閣諸島沖中国漁船拿捕事件について・その2

 9月8日には、以下のような記事が現れている。

 9月8日(ブルームバーグ):海上保安庁は8日未明、中国漁船が同庁の巡視船と尖閣諸島付近の東シナ海接触した事件をめぐり、漁船の船長を公務執行妨害の疑いで逮捕した。仙谷由人官房長官が8日午前の会見で明らかにした。仙谷氏によると、中国側は日本に抗議し、船長の釈放を要求しているという。

  尖閣諸島は日本が実効支配しているが、中国も領有権を主張している。仙谷氏は尖閣諸島に対する日本政府の見解について「そもそも尖閣諸島問題については領土問題は存在しないというのが日本の立場で、日本の国内法で対処していく」と強調。今後の日中関係に関しては「影響が出るとは考えていない。ここは日本の国内もヒートアップしないで冷静に対処していくことが必要」との認識を示した。

  仙谷氏によると、船長は、同漁船への立ち入り検査を実施するために停船を命じて追跡をしていた海上保安庁の巡視船「みずき」に漁船を衝突させるなどして海上保安官の職務の執行を妨害した。

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 広川高史 Takashi Hirokawa thirokawa@bloomberg.net

更新日時: 2010/09/08 12:55 JST

 この記事によれば、船長の逮捕日時は「8日未明」となっている。毎日新聞の記事では巡視船が漁船を停船させたのが7日の午後0時56分とあるから、それから逮捕までに半日以上を要していることになる。これはその後の報道で出たとおり、事件の処理をめぐって政府首脳の意見調整がなされていたためだろう。

 また、この記事では、「漁船への立ち入り検査を実施するために停船を命じて追跡していた海上保安庁の巡視船「みずき」に漁船を衝突させるなどして海上保安庁の職務の執行を妨害したとあり、この停船を命じたという点で、先行する毎日新聞の記事と符合している。また、「追跡をしていた」とある以上、漁船は逃走しようとしていたと解される。

 反面、この停船を命じたという記事は、先行する毎日新聞の「領海外へ退去するよう警告した」という記事と内容的に矛盾する。