日本政治・社会

 安倍内閣を支えるもの(2)

要するに,かつて社会党や共産党,とりわけ社会党に投票していた社会主義者・共産主義者,それに「リベラル」な層が,投票すべき政党が,雲散霧消してしまっている。西欧のような社会民主主義政党もなければ,アメリカの民主党のような政党もない。逆に言え…

安倍内閣を支えるもの

安倍内閣の支持率が依然として堅調である。 安保法制反対運動やら森友・加計問題やらで一時的に下降線をたどっても,日がたつとまた回復してくる。安倍内閣を支持するコアな支持層があり,この層が安倍内閣を下支えしているように思える。 どんな層がどんな…

安保法制反対運動の総括・その4

反原連,しばき隊,SEALDs+SEALDs防衛隊という一連の流れの運動について,どのような点が評価され,どのような点が問題とされるべきか。 これらの一連の運動は,新旧の既成左翼の硬直した,型にはまった運動のスタイルを刷新し,従来型の運動に…

安保法制反対運動の総括・その3

50年代・60年代の学生運動は,東大・京大などの有名国立大学や早大・慶大などの有名私立大学を拠点とし,当時の先進思想とされた共産主義・社会主義に影響を受けていた。当時は戦前と比べると大学の大衆化が言われていたが,まだまだ大学進学率も低く,…

安保法制反対運動の総括・その2

今回の運動の特徴の一つに、学者や弁護士といった知識人集団が運動の前面に出ていたことが挙げられる。これらの知識人集団は、独自に動くに止まらず、弁護士会のように集会の主宰者を買って出て、とかくまとまりにくい諸集団の接着剤的役割を担ったり、学生…

 安保法制反対運動の総括

昨年の安保法制に対する反対運動は、この種のテーマを対象とする運動としては、久方ぶりの盛り上がりを見せた。しかし、国会で圧倒的な議席を擁する安倍政権を追い詰めるには至らず、法案は国会を通過した。 その後、運動のあり方を巡って、ネットなどで議論…

満身創痍の日本

今,日本は東京オリンピック開催に沸いているが,足元を見れば,この国は満身創痍である。 経済は持ち直してはきたものの,依然として,「失われた20年」の傷跡を引きずっている。財政は逼迫し,その穴埋めのための消費税増税の時期を窺っている。生活保護…

震災とボランティア

今回の震災を阪神淡路大震災と比べてみて、気になるのが被災地でのボランティアの影の薄さである。 阪神淡路大震災のときは、震災から日を置かずして、被災地には様々なボランティアが押し寄せてきた。報道を駆けつけてきた全国の若者層、被災者の家族から宗…

被災経験について

3月11日の地震から約2週間が経過した。 私は16年前の阪神淡路大震災の時、激甚災害地区だった西宮市で、地震を身を以て体験した。それ故に、今回の地震についても、自分の地震体験の記憶を重ね合わせながら、見守っている。 地震が起こった後、被災地…

尖閣諸島沖中国漁船拿捕事件について・その12

4/6ビデオの衝突場面以降。アナウンス「連絡する。連絡する。中国漁船が本船に衝突した。相手船がぶつけてきた。」 カメラが巡視船右後方に移動。巡視船の船尾を抜けた漁船が巡視船右後方に出てきたのが映っている。漁船の甲板に人が見える。 漁船は巡視船…

尖閣諸島沖中国漁船拿捕事件について・その11

4/6のビデオに進む。漁船の右前方から撮影している角度の映像である。エンジン音。 アナウンス「前進していないので、揚網のための動力だと思われます。あ、揚げました。今、左舷側からクレーンを使って網を揚げました。先ほどのエンジンの音が高くなった…

尖閣諸島沖中国漁船拿捕事件について・その10

3/6のビデオの概要。最初に表題「ミンシンリョウ5179 潤・Q揚網中から衝突・逃走 PL63よなくに 仲座撮影」とあり、巡視船「よなくに」から撮影されたもののようである。このビデオのように、海上保安庁の巡視船は中国漁船が「侵犯」してきたとき、…

尖閣諸島沖中国漁船拿捕事件について・その9

引き続き,2/6の長さ8分9秒のビデオを検証する。漁船は巡視船に対して右舷を見せ,巡視船も停止しているように思える。 「停船してから4分30秒経った」「停戦後5分経過」「後進をやめた」「5分20秒経過し,後進をやめた」「本船,相当動揺してい…

尖閣諸島沖中国漁船拿捕事件について・その8

YOU TUBEに流出した漁船衝突を撮影したビデオは,その後削除されたが,各所にコピー掲載されていると報道されている。 「阿修羅」掲示板の11月5日付「流出した尖閣ビデオはこれ」と題する投稿のコメント欄01.にも,「管理人さん」によって,ビデオのURLが…

尖閣諸島沖中国漁船拿捕事件について・その7

事件直後の9月9日に発せられた中国外交部姜瑜報道官声明とこれに伴う記者からの質問に対する回答で、中国はこの事件に対する中国側の見解と立場を非常に明確に発している。>関連の質問に対し、姜瑜報道官は「事態のエスカレートを避けるため、日本側 >は直…

尖閣諸島沖中国漁船拿捕事件について・その6

現在、この事件の事実関係については、漁船が衝突してきたとする日本側と巡視船が衝突してきたとする中国側の双方の主張が出されているだけで、その主張を裏付ける証拠は、ほとんど出されていない。従って、観客としては、本当の事実関係はどうだったのかと…

尖閣諸島沖中国漁船拿捕事件について・その5

中国外交部姜瑜報道官の声明では、日本の巡視船が中国の漁船と衝突したとあり、中国漁船が日本の巡視船に衝突したとする日本側報道と食い違っている。 しかし、この中国側声明はその論拠が明らかでなく、漁船が巡視船に衝突してきたとする日本側主張に対して…

尖閣諸島沖中国漁船拿捕事件について・その4

9月10日付のチャイナネットは、尖閣諸島沖中国漁船拿捕事件についての中国外交部姜瑜報道官の以下の声明を報道している。外交部の姜瑜報道官は9日、釣魚島とその周辺の島は中国固有の領土であるとし、「釣魚島海域で活動している中国漁船に日本が国内法を…

尖閣諸島沖中国漁船拿捕事件について・その3

9月7日付朝日新聞は、以下の記事を掲載している。 尖閣諸島沖で海保巡視船2隻と中国漁船接触、けが人なし 2010年9月7日12時37分 7日午前、尖閣諸島・久場島付近の東シナ海で、石垣海上保安部(沖縄県石垣市)所属の巡視船「よなくに」(1349トン)と…

尖閣諸島沖中国漁船拿捕事件について・その2

9月8日には、以下のような記事が現れている。 9月8日(ブルームバーグ):海上保安庁は8日未明、中国漁船が同庁の巡視船と尖閣諸島付近の東シナ海で接触した事件をめぐり、漁船の船長を公務執行妨害の疑いで逮捕した。仙谷由人官房長官が8日午前の会見…

尖閣諸島沖中国漁船拿捕事件について・その1

この事件は、中国当局に拘束された日本の「フジタ」社員1名が未だその拘束を解かれていないなど、なお進行中であるが、とりあえず、思いつくままに、メモ書き程度の感想を記しておきたい。 この事件は、事実関係が未だにはっきりしない。 最初期の報道では…

参議院選挙民主党惨敗後の政治風景

参議院選挙は民主党の惨敗に終わり、国会は参議院で与党が過半数を取れない「ねじれ」状態に入った。民主党は衆議院で三分の二を有していないから、国会は膠着状態に陥り、民主党としてはいずれかの野党との連立を目指すか、それとも立ち往生して解散に追い…

憂鬱な季節

春だというのに、一向にはっきりしない季節が続く。 昨年の政権交代から半年余りを経て、民主党政権は迷走の極みに至っている。 迷走の理由ははっきりしている。検察が民主党幹部を狙い撃ちした意図的な捜査を仕掛け、普天間基地移設問題がアメリカとの軋轢…

革命の政治力学

革命が成就した瞬間から,革命主体は反革命抵抗勢力に取り囲まれることになる。 彼が占拠した砦は,政治・経済・社会・文化等々の複合体からなる旧秩序の一部分に過ぎず,残りの複合体の殆どは依然として旧勢力の支配するところだからである。 この包囲する…

検察の耐えられないいかがわしさ

検察が小沢民主党幹事長(当時代表)の大久保秘書をいきなり逮捕したのは,麻生政権が末期的症状を呈し,「かんぽの宿」疑惑が世間を賑わし,小沢代表が率いる民主党への政権交代がほぼ確実視されるようになっていた,まさにその時期であった。かつては政局…

左翼の検察贔屓

今回の地検特捜部による民主党首脳を標的とした捜査に際して,驚かされたことの一つが,左翼の中に検察捜査の肩を持ち,鳩山,小沢を批判する者の多いことだった。それも,捜査の対象になっているが故の,公式論的批判というに止まらず,また,政局的思惑と…

検察の暴走

検察の暴走が止まらない。 傍目から見ても強引な検察の民主党首脳を対象とした捜査は,一般人の目にも異様なものと映りだしている。そう見られても構わないといわんばかりの執拗な捜査の継続は,検察のタガがどこかで外れてしまったかのような印象を与える。…

政権交代についてのメモ書き(4)

戦後初期の日本の政治社会は、米軍占領のもとでの革命的情勢下で、日本共産党とそれが領導する労組・社会団体の躍進と激しい運動が展開されていた。その後、冷戦の開始に伴う占領政策の変化により、共産党と関係諸団体に対する強権的抑圧が始まり、労組にお…

政権交代についてのメモ書き(3)

今回、民主党に投票した有権者は、概ね、3つの層からなっていると考えられる。 第1は、以前であれば社会党や共産党に投票していたであろう左派的な傾向を持っている人達で、小選挙区制により社会党が消滅し、その代わりの受け皿として民主党に投票している…

政権交代についてのメモ書き(2)

小泉政権はその誕生から郵政解散選挙にかけての過程で、今回の政権交代劇と似通った雪崩現象を惹起した。 こうした小泉政権の経過を振り返ってみることは、今回の政権交代劇の性格を分析するための参考になるだろう。 小泉政権が誕生したとき、自民党政権は…